「水深ゼロメートルから」の完成披露上映会に登壇した山下敦弘監督とメインキャストたち

「水深ゼロメートルから」完成披露上映会に山下敦弘監督や濱尾咲綺らメインキャスト登壇 撮影の裏話を披露

2024.04.25 11:09
「水深ゼロメートルから」の完成披露上映会に登壇した山下敦弘監督とメインキャストたち

第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した「水深ゼロメートルから」の完成披露上映会が開催された。メインキャストとともに撮影の裏話も披露。

女子高生たちの繊細な心情を描いた「水深ゼロメートルから」完成披露上映会

本作は、スマッシュヒットを記録した映画「アルプススタンドのはしの方」と同様のプロジェクトから生まれた「高校演劇リブート企画」第二弾作品。高校2年生の夏休みに、水のないプールに特別補習のため呼び出された女子高生たちによる、心の葛藤と解放の繊細な青春ストーリーだ。

2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した徳島市立高等学校「水深ゼロメートルから」(原作:中田夢花)を原作とした舞台が、2021年に「劇」小劇場にて上演。そして山下敦弘監督によって実現した映画が、2024年5月3日(金)から新宿シネマカリテほかで全国順次公開予定となっている。

ココロ役の濱尾、ミク役の仲吉、そしてユイ役の花岡は2021年の舞台に続き、映画でも同じ役を務めた。濱尾は「同じ役を舞台でも映画でも演じることができたのは貴重だなと思いましたし、面白かったし、難しかったです」と感想を話す。今回の映画での芝居は、舞台とは全く違ったようで、花岡は「舞台はもっとキラキラしていたけど、映画はどこか醒めたような印象があります。普段の仲が良い感じを舞台には持ち込んでいたけれども、映画では初めて会った人たちというテンションを作る必要があったので、それが難しかったです」と明かした。

また仲吉は「舞台は限られた場所で演じましたが、(映画の撮影では)実際にプールに入ったり、プールサイドで演技をしたので、意外と顔が見えなかったり、声が届かなかったりしたので、ココロのセリフの刺さり方も違いましたし、ミクの届け方も変わりました。キャラクターの性格は変わらないのですが、見せ方や話す間(ま)も全然違ったので、新鮮な感じでした」と思いを述べた。

映画版から参加したのが、チヅル役の清田と野球部マネージャーの三浦だ。清田は初めて脚本を読んだときの印象を「最初に思ったのは“会話劇だな”ということでした。場面転換が少ないのは、舞台の映画化ならではだと思いましたし、当時、現役高校生だった中田さんが書かれた脚本なので、共感しやすい部分も多くて、これはぜひやりたいと思いました」と語った。

一方、三浦は「初めて物語を読ませていただいた時に、水のないプールが舞台というのが、どんな感じなんだろうって。そこで繰り広げられる感情のぶつかり合いが面白いなと思いました」と笑顔で話すが、その水のないプールでの撮影にはいなかったそうで「グラウンドでペットボトルを運んでいました」と苦笑を浮かべた。

「女性陣に正解を聞きながら」山下監督のこだわり

「リンダ リンダ リンダ」や「カラオケ行こ!」など、数々の青春映画を撮ってきた山下監督だが、今作は「女の子たちの話なので、頭では分かるけれども感覚としてはわからないところも多かった」という。それゆえ、「濱尾さんたちに『違和感ない?』とか『今のおかしいよね?』と聞いて、セリフを減らしたりしながら、一緒に作っていきました」と明かし、「女性陣に正解を聞きながら撮影しました」と振り返る。

今作では体育教師の山本役としてさとうほなみも出演。さとうの印象を聞かれた仲吉は「とにかく美しくて、肌も白い」とさとうの美貌を称賛する。濱尾も「ココロが山本先生とバトルシーンがあったのですが、カットがかかった瞬間のほなみさんの顔が本当に美しくて、優しくて、演じている時とのギャップがすごかったです」と同意した。

舞台あいさつの最後には、濱尾は改めて「この作品は観た人の心をゼロメートルから数メートル持ち上げて背中を押してくれる作品だと感じました。観るたびに感じる部分や刺さるキャラクターやシーンが変わってくると思います。何度でもたくさん観ていただけると嬉しいなと思います」とアピール。

仲吉は「みくりちゃんがこの作品は“脳内会議”だとおっしゃっていたんです。いろいろな悩みを持った子たちが、自分なりの伝え方で頑張って葛藤して解消していくのですが、みんなの悩みに共感できる部分があって、確かに脳内会議のようだなと思います。5人のセリフは、心に刺さる、後押ししてくれるようなセリフばかりです。いろいろな機会に何度も見返していただけたらと思っております」とコメントを寄せ、清田は「人それぞれいろいろな感想を持つかもしれないですが、自分の感想を持つことが映画のテーマの“自分らしさ”につながると思います。どんな感想でも抱いた気持ちを忘れずにいてもらい、そして、またいつか見返したときにどう思うのか考えて、いっぱい愛して欲しいと思います」と思いを語った。

そして、花岡は「この映画を見る時、私は自分の中学生、高校生を思い出しながら見ましたが、今、高校生の方、これからなる方、昔の高校生時代を思い出して観る方、いろいろな視点から観た感想に興味があります。皆さんから観たこの映画がどんなものなのか教えていただけたら嬉しいと思います」と笑顔を見せ、三浦は「山下監督やスタッフの皆さん、キャストの皆さんが愛を込めて作ったこの作品がたくさんの人に届いてくれたら嬉しいなと思います」とメッセージを贈る。

最後に山下監督が「自分の欲が入っていない映画を久々に作れた気がしています。主人公がいないというのも大きいと思いますが、とても清々しい映画です。小さい映画ですが、いろいろな人に届いて欲しいと思っています。感想を書きづらい映画かもしれないですが、感想を書いてくれたら嬉しいです」と呼びかけて、締めくくった。

■「水深ゼロメートルから」ストーリー

徳島南高校2年生の夏休み。阿波踊りの練習を見られたくない内気なミクと、メイクをしてないと落ち着かないココロ。2人は体育教師の山本から、水泳の授業の特別補習として、水の入っていないプールの掃除を指示された。そのプールの底には、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっているのだ。

渋々砂を掃き始めた2人と、なぜかそこにいるやけっぱちな水泳部のチヅル、やがてやって来た水泳部を引退した3年の先輩ユイたちの部活、恋愛、メイク…他愛のない会話で放課後の時間は過ぎていく中、徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いは時にすれ違い、時にぶつかり合いながらどこへ向かうのか…?

プールの底から始まる、ヴィヴィッドな青春群像劇。

※濱尾咲綺の「濱」は異体字が正式表記

関連リンク

関連記事

  1. 新垣結衣が語りに!“伝説の家政婦”タサン志麻さん夫婦に密着「たくさんの人の心にスッとしみこむはず…」<ふたりのディスタンス>
    新垣結衣が語りに!“伝説の家政婦”タサン志麻さん夫婦に密着「たくさんの人の心にスッとしみこむはず…」<ふたりのディスタンス>
    WEBザテレビジョン
  2. 東京03の超絶サクセスストーリー 全国ツアーだけで「1年食えるくらいはもらえる」
    東京03の超絶サクセスストーリー 全国ツアーだけで「1年食えるくらいはもらえる」
    WEBザテレビジョン
  3. <BLACKPINK>「あつまれ どうぶつの森」内に“BLACKPINK島”がオープン!MVのセットやステージを再現
    <BLACKPINK>「あつまれ どうぶつの森」内に“BLACKPINK島”がオープン!MVのセットやステージを再現
    WEBザテレビジョン
  4. 松井玲奈、大粒の涙…新型コロナ感染中の思い吐露「人生の中では一番苦しいぐらいの数日間」
    松井玲奈、大粒の涙…新型コロナ感染中の思い吐露「人生の中では一番苦しいぐらいの数日間」
    WEBザテレビジョン
  5. ジャニーズWEST中間淳太 “探偵”イメージの細身スーツで「小説現代」表紙に!推しミステリから自身の創作活動まで明かす
    ジャニーズWEST中間淳太 “探偵”イメージの細身スーツで「小説現代」表紙に!推しミステリから自身の創作活動まで明かす
    WEBザテレビジョン
  6. 瀬戸朝香、“なかなか良い感じ”7歳長女によるメイクSHOTに反響「優しくて自然な感じすごくいい」「娘さんお上手!」
    瀬戸朝香、“なかなか良い感じ”7歳長女によるメイクSHOTに反響「優しくて自然な感じすごくいい」「娘さんお上手!」
    WEBザテレビジョン

「映画」カテゴリーの最新記事

  1. 松本まりかが号泣 原作者からの手紙に「罪深いことをしてしまったなと思っていました」【湖の女たち】
    松本まりかが号泣 原作者からの手紙に「罪深いことをしてしまったなと思っていました」【湖の女たち】
    モデルプレス
  2. 石原さとみ、義両親からの手作りプレゼントに感激 中村倫也が対抗「俺に言ってくれたら作ったのに」【ミッシング】
    石原さとみ、義両親からの手作りプレゼントに感激 中村倫也が対抗「俺に言ってくれたら作ったのに」【ミッシング】
    モデルプレス
  3. 石原さとみ、迷子の知らせ聞き40分捜索「本当に怖くなって」声震わせ語ったエピソードに青木崇高が涙【ミッシング】
    石原さとみ、迷子の知らせ聞き40分捜索「本当に怖くなって」声震わせ語ったエピソードに青木崇高が涙【ミッシング】
    モデルプレス
  4. 石原さとみ、出産経て脚本の印象に変化「悪夢を見そうなくらい」【ミッシング】
    石原さとみ、出産経て脚本の印象に変化「悪夢を見そうなくらい」【ミッシング】
    モデルプレス
  5. 乃木坂46与田祐希、高山一実作詞楽曲歌う 幻の音源初解禁「自分自身の経験も思い出しながら」【トラペジウム】
    乃木坂46与田祐希、高山一実作詞楽曲歌う 幻の音源初解禁「自分自身の経験も思い出しながら」【トラペジウム】
    モデルプレス
  6. 中村倫也、石原さとみの“優しい対応”に感激「毎回毎回ちゃんとツッコんでくれるんです」
    中村倫也、石原さとみの“優しい対応”に感激「毎回毎回ちゃんとツッコんでくれるんです」
    WEBザテレビジョン
  7. 西野七瀬、“おじいさん役”受けた理由は高山一実 撮影振り返る「もっと高みを目指したかった」【トラペジウム】
    西野七瀬、“おじいさん役”受けた理由は高山一実 撮影振り返る「もっと高みを目指したかった」【トラペジウム】
    モデルプレス
  8. 高山一実&西野七瀬、“たかせまる”登壇で作品への思い語る 内村光良も登場「白石麻衣のつもりで頑張ります」【トラペジウム】
    高山一実&西野七瀬、“たかせまる”登壇で作品への思い語る 内村光良も登場「白石麻衣のつもりで頑張ります」【トラペジウム】
    モデルプレス
  9. 西野七瀬、高山一実原作の映画で“おじいさん”役オファーに驚くも「かずみんと一緒だったら心強いかもって」
    西野七瀬、高山一実原作の映画で“おじいさん”役オファーに驚くも「かずみんと一緒だったら心強いかもって」
    WEBザテレビジョン

あなたにおすすめの記事